📰 「腎臓サポートフード」って健康な猫に与えても平気?意外な落とし穴とは?
2024年以降、Greycoat Researchは世界中の1,500匹以上の猫と1対1のコンサルテーションを行ってきました。
そして、ある共通の傾向が繰り返し見られています。
それは、多くの善意ある飼い主が、将来の腎臓病を予防しようとして、正常な腎機能を持つ猫に腎臓用(キドニーケア)療法食を与えているということです。
しかし、このアプローチは一見すると積極的な対策に思えるかもしれませんが、
長期的な健康を損なう可能性のある、意図しないリスクを伴うことがあります。
正しい情報を持ちましょう。
予防は、栄養バランスを犠牲にしてはなりません。
❗腎臓用療法食は、慢性腎臓病(CKD)と診断された猫のための処方食です。
腎臓用療法食は、すでに慢性腎臓病(CKD)と診断された猫をサポートするために設計されたフードです。
その栄養成分や治療目的は、一般的なキャットフードとは大きく異なります。
獣医師の指導なしに健康な猫に与えることで、病気の予防どころか、栄養バランスの乱れを引き起こす可能性があります。
⚠️ 腎臓用療法食が健康な猫に適していない可能性がある理由
1. タンパク質制限 → 栄養不足のリスク
腎臓療法食は、損傷した腎臓への代謝的負担を軽減するために、意図的に低タンパクに設計されています。
しかし、健康な猫には筋肉量の維持、免疫力、細胞の修復のために、十分で質の高いタンパク質が必要です。
特に成長期や活動的な猫において、長期的なタンパク質制限は筋肉量の減少、免疫力の低下、発育の遅れなどを引き起こす可能性があります。
2. アルカリ化添加物(例:アセテート類) → pHバランスの乱れの可能性
CKD(慢性腎臓病)による代謝性アシドーシスの管理のため、
多くの腎臓療法食には酢酸カルシウムや酢酸カリウムなどのアルカリ化剤が含まれています。
こうした成分は腎機能が低下した猫には有益ですが、健康な猫にとっては不要であり、
体内の正常な酸塩基バランスを乱す可能性があります。
長期的には、尿路トラブルや代謝への負担につながるリスクも否定できません。
⚠️ アルカリ化しすぎに注意!知られざる5つのリスク
1. 尿路結石や結晶のリスク上昇
アルカリ性の尿は、リン酸カルシウムやストルバイト結晶の形成を促進する可能性があり、
尿路閉塞のリスクが高まることがあります。
2. 腎臓のろ過機能への影響
血液のpHが過剰にアルカリ性になると、腎臓のろ過ダイナミクス(GFR)に影響を与えたり、
低カリウム血症などの電解質異常につながる可能性があります。
3. 多尿と脱水
腎臓での電解質の処理が変化することで、水分の再吸収が妨げられ、尿量の増加や脱水を引き起こす可能性があります。
4. 不整脈のリスク
カリウムバランスの乱れは、特に感受性の高い猫において、**心拍の不整(不整脈)**を引き起こす可能性があります。
5. 神経筋系の症状
重度の神経症状は稀ですが、持続的なアルカローシスや電解質の変動により、
筋肉のけいれんや震えなど、神経筋の過敏反応が起こる可能性もあります。
✅ Q&A:猫の飼い主さんからよくあるご質問
Q. 健康な猫に腎臓用フードを与えても大丈夫ですか?
A. 獣医師からの特別な指示がない限り、おすすめできません。
腎臓用療法食は、腎臓病と診断された猫のための治療用フードです。
健康な猫に予防目的で与えると、思わぬ副作用を引き起こす可能性があります。
Q. 猫が長期間低タンパクの食事を続けるとどうなりますか?
A. 栄養バランスの乱れを招く可能性があります。
例えば、血液のアルカリ性傾向、筋肉量の減少、免疫力の低下、尿路結晶、脱水、活力の低下などが挙げられます。
Q. 猫の腎臓の健康を守るにはどうすればいいですか?
A.
- 定期的に動物病院で健康診断を受ける
- 十分な水分補給を心がける
- 栄養バランスのとれた高品質な総合栄養食を与える
- AIMタンパクの働きをサポートするサプリメントを検討する
- ストレスを減らし、全身の健康を維持する
➡️ 獣医師から明確な指示がない限り、腎臓用療法食は健康な猫には適していません。
📌 まとめ(重要ポイント)
- 腎臓用療法食は、慢性腎臓病(CKD)と診断された猫のための医療用フードです
- 健康な猫に予防目的で与えるものではありません
- 腎臓の健康を長く保つためには、栄養バランスの取れた食事、水分補給、早期発見が何より重要です
「腎臓用フードは治療の一環であり、予防のための毎日の食事ではありません。
医学的な必要がないまま使用すると、かえって健康を損なう可能性があります。」
— Greycoat Research