正確な対応と迅速な処置が必要な時期
IRISガイドラインによれば、ステージ3とは腎機能の75%以上が損なわれた状態を意味します。
つまり、正常な機能のわずか4分の1以下しか残っていないということです。
この段階では、体内の毒素をろ過する力が著しく低下し、
症状の悪化スピードも加速します。
- 食欲の低下
- 活力の喪失
- 不安定な血液数値
これらの兆候がより明確になり、
緊急事態に急変するリスクも高まります。
しかし、正確な対応と迅速な処置ができれば、
数ヶ月ではなく、数年にわたって生活の質を維持することも可能です。
グレイコートリサーチでは、
これまでに1,000件以上のステージ3症例を分析し、
この段階に特化した専用のケアルーティンを開発しています。
サプリメントと処方薬の併用 ― 総合的なサポートを
ステージ3になると、基本的なケアだけでは対応が難しくなってきます。
この段階では、腎臓・腸・代謝・血液といった複数の体内システムを同時にサポートする、統合的かつ複合的なアプローチが求められます。
- ドクター・トール・プロトコル(AIMベース)- 体内の自然な腎臓の老廃物除去システムをサポートします。
- インテンシブプロトコル(AMPKベース)- 細胞のエネルギー代謝を高め、酸化ストレスを軽減します。
- プロバイオティクスプロトコル(尿毒素ターゲット型)- 腸内由来の尿毒素の排出をサポートし、腸内の炎症を抑えて消化器と免疫の健康を維持します。
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- オメガ3(EPA/DHA)- 抗炎症作用と腎血流改善(目安:1日約100mg)
- リン吸着剤(Phosphate Binders)
- 例:ランタンカーボネート(フォスレノール)、セベラマー
- 食事中のリンと結合し、体内への吸収を防ぐ役割があります。そのため、必ず食事と一緒に与える必要があります。 - 尿毒素吸着剤
- 例:球形吸着炭
- 腸内で尿毒素(ウレミックトキシン)を吸着して排出することで、血液中への毒素の流入を防ぐ効果が期待されます。 - メラトニン(1日1mg)
- CKDに伴う慢性貧血の予防と造血を助け、抗酸化作用もあります。
食事管理 - 腎臓療法食は今や必須です
ステージ3では、タンパク質・リン・ナトリウムの厳密な制限が必要不可欠です。
処方された腎臓療法食は、CKDの猫のために設計された重要な管理手段であり、今や必ず取り入れるべき選択肢です。
✔ 腎臓専門療法食への切り替えは必須です
- できる限りウェットフード中心の食事を心がけましょう。ドライフードと併用する場合も、水分補給を意識してください。
- 食欲が落ちている場合は、ちゅーるや補助給餌でカロリー摂取をサポートする必要があります。
- 粒の小さいドライフードを使った給餌や、ウェットフードを潰して柔らかくした上で、水分を加えてシリンジで与える方法も有効です。
※ただし、誤嚥(気道への吸い込み)には十分に注意してください。
✔ 自力で食べられない場合は、必ず補助給餌を行いましょう
食事の中断は、腎機能の急激な悪化を招く恐れがあります。早めの対応が、安定したケアに繋がります。
水分管理 - ステージ3では皮下輸液が必須です。
ステージ3になると、自発的な飲水だけでは必要な水分をまかなえないことが多くなります。
そのため、体系的かつ積極的な水分補給のルーティンが、腎機能の維持と進行の遅延において極めて重要です。
✔ 推奨される1日の水分摂取量
- 体重1kgあたり40〜50ml (例:4kgの猫 → 160〜200ml / 日)
✔ 水分補給の具体的な戦略
- ウェットフードに温かい水を加える(比率 1:1 または 2:1)→ 食事をしながら自然に水分摂取ができます。
- 水で薄めた液体タイプのおやつを使用 (例:おやつ5ml + 水30ml) → 味付きの水として与えることで、飲水量を増やせます。
- 皮下輸液を毎日実施(獣医師の指導のもと)→ 体内への安定的な水分供給が可能です。
⚠️ 重要な注意点
: 心臓や肺に疾患がある猫の場合、獣医師の指導なしで皮下輸液を行うのは非常に危険です。必ず事前に診断を受けてから投与を検討してください。
動物病院で必ず確認したい検査項目
ステージ3以降は、合併症を先回りしてモニタリングすることが非常に重要です。
動物病院を受診する際には、以下の検査項目がすべてチェックされているかを必ずご確認ください。
✔ 血液検査で確認すべき項目
- 電解質バランスのチェック
- 代謝性アシドーシスの有無 (例:血液pHの低下や、重炭酸塩(HCO₃⁻)の異常値)
- 貧血の進行状況の確認 (例:HCT(ヘマトクリット)、RBC(赤血球数))
- 腎臓指標の追跡 (例:クレアチニン、BUN、リンの数値)
✔ 診断時と3ヶ月ごとに確認すべき項目
- 血圧測定 - 高血圧は腎臓へのダメージをさらに進行させるリスクがあります。
- 心臓の評価(proBNP検査)- 心不全の兆候やリスクを把握するために有効です。
- 肺の状態チェック(聴診およびレントゲン)- 呼吸器系の異常を早期に発見するために重要です。
緊急症状チェックリスト
以下のいずれかの症状が見られた場合は、すぐに動物病院に連絡してください。
ステージ3の猫では、迅速な対応が命を救う鍵となります。
✔ 緊急症状一覧
- 完全な食欲喪失 → 何も食べず、食べ物を完全に拒否している状態
- 1日3回以上の嘔吐 → 歩行困難、ぐったりして立ち上がれない、足に力が入らないなど
- 開口呼吸または異常に速い呼吸 → 明らかに呼吸が苦しそうな様子。肺や心臓への負担が疑われます
- 48時間以上の便秘 → 2日以上排便が確認できない場合は注意が必要です
- 頻繁なトイレ行動(5分おきなど)→ 排尿・排便を何度も試みるのに、実際にはほとんど出ていない状態
これらのサインを見逃さず、早期の通院判断を心がけてください。
新しい病院を検討すべきタイミング
猫がCKDステージ3にあるにもかかわらず、現在通っている病院が適切な対応を取っていないと感じた場合、より専門性の高い医療機関への転院を検討してください。
CKDステージ3は深刻な状況ですが、猫にはその状態を正しく理解した上で、適切な治療を受ける権利があります。
✔ 以下のような対応が見られる場合は要注意
- 皮下輸液の提案・説明がない
: ステージ3では、脱水防止と腎機能の維持のために皮下輸液が不可欠です。
自宅での皮下輸液や病院での定期的な補液について、明確な説明がない場合は不十分な管理の可能性があります。 - 代謝性アシドーシス(酸塩基バランスの異常)への理解・対処が乏しい
: pHや重炭酸値の検査・管理は、CKD進行を左右する重要な要素です。
血液ガス検査や適切な補正治療(重炭酸ナトリウムなど)が行われていない場合、病態の悪化を見逃すリスクがあります。 - 十分な説明もなく安楽死を提案される
: ステージ3は、生活の質を維持しながら数年単位で共に過ごすことが可能な段階です。
管理の可能性を提示せずに、早期に安楽死を選択肢として挙げる獣医師には注意が必要です。
✔ 適切な病院を選ぶために
- 猫のCKD管理に積極的で、臨床経験の豊富な病院を探しましょう
- 飼い主の不安や疑問に丁寧に答えてくれる医師を選びましょう
- セカンドオピニオンを取ることは、飼い主として当然の選択肢です
愛猫が必要とするのは、「ただの延命」ではなく、穏やかで尊厳のある生活の継続です。
そのために、納得のいく医療パートナーを見つけましょう。
正確さとスピードだけが命を救います。
ステージ3では、もはや試行錯誤の余裕はありません。
迅速かつ正確なケアだけが、腎臓病の進行を遅らせ、猫の日常と飼い主様との大切な時間を守ることができます。
グレイコートリサーチは、世界中の10,000件を超えるCKD症例を通じて、それを実際に確認してきました。
正確なルーティンに基づいて管理された猫たちは、ステージ3であっても数ヶ月ではなく、数年間を飼い主様のそばで穏やかに過ごしました。
今の選択が、これからの時間を左右します。どうか迷わないでください。今すぐ始めましょう。
※ すでに猫の状態が急激に悪化している場合、またはステージ4へと進行している場合、一般的なルーティンだけでは不十分なことがあります。
緊急のサポートが必要な場合は、できるだけ早くご相談ください。